月別アーカイブ: 2011年10月

Web上ではコマ割は変わっていくんじゃないの

電子書籍は紙へのノスタルジア=いずれウェブに同化する【湯川】

表題で十分理解できる意見だし、電子書籍というフォーマットの微妙な欲しくなさというのは、こういう所に出るんだと思う。電子書籍とか言ってるけどこれ要はHTMLでしょと。

フォーマットはコンテンツに影響を及ぼすし、電子書籍が無くなった先はやっぱり普通の、上に目次があって下にコンテンツがあるようなWebなんだろう(フレームかもしれない)。もろに影響を受けるとすれば、漫画のフォーマットかなあ。

漫画のコマ割って、見開きで閲覧するのを前提にしてる所があって、右上から左下に視線を誘導していくんだけど、縦に閲覧するのであれば、もっと分かりやすく上から下に流れなければいけないような気がする。液晶画面の一覧性の悪さを克服するために、コマ割は簡易化されていくのかも知れない。

コマ割は慣習的なものだからそんなに急に変わるかは分からないけど、意味が無いものはどんどん手抜きしていかないと、次のものが作れなくなっちゃうんじゃないかあと思う。

箱と中身の話

どこから拾ってきた文章だったか忘れたけど、文章の一部をぐぐれば引っかかるであろう。

堀川:納得するもの―攻殻では自分のやりたいことが入れられないってこと?

神山: 「企画というのは僕は入れ物のことだと思うんですよ。自分がやりたいことって言うのは企画じゃないんです。それは誰にでもあるもの。企画には自分以外の人も参入してくるわけですから、誰もが乗れるものじゃないとだめなんです。これが作れるかどうかが企画が決まるということなんですよね。箱と中身を混同しちゃいけない。「負け戦」を唱える人は、箱まで自分でつくらなきゃ負けだと思っているか、自分が持っているものは(攻殻機動隊という)箱には入らないんだと思っているかだね。箱と中身を同時に発明できるような天才であればさ、それに越したことは無いと思うよ。」

箱と中身はよく混同するなあと思う。自分は両方作りたい質だ。

箱を作る人間なのか、箱の中身を作る人間なのかというのは、自分自身どっちが向いているのかはよく分からない。どっちかというと中身なんだろうか。

僕は打席に立てることの方が重要であってね

神山: 「今回監督として打席に立ちたいとか、プロデューサーとして打席に立ちたいとか、キャラクターデザインとして打席に立つというチャンスは提示されたのだから、それだけでもやりたいことは叶っているわけですよ。攻殻ではそれができないというのは、僕にはその理由はわからない。全部自分でやりたいと思っているのか、あえてひどい言い方をすれば、本当はやりたいことがないんじゃない、というかね、僕は打席に立てることの方が重要であってね、毎回最終回のツーアウト満塁で自分が打席に立って、満塁ホームランを打つっていうシチュエーション以外打席に立たないよっていうかさ、勝てる試合にしか登板しないというよりは、消化試合だろうと登板してね、じゃあ、消化試合でノーヒットノーランを見せてやるよって言う気概だったかな。」

でも一方で、こういう発言って職業人ならではだよなとも思う。素人が打席に立つ回数をいくら増やしたって、その道のプロの打席回数には結局負けてしまうし役割的にも劣ることになってしまう。だから箱と中身を可塑性のあるものにするのが、素人の戦い方なんじゃないか。何を目指すのかにもよるけれども。

すげえ姿勢としては正しい話だと思いつつも、自分にはそれはできないだろうなぁと弱気になってしまう。言い訳かなぁ。

補正を使った入力UI

iPhoneの加速度装置でキーロガー

英語という特色もあるからこういうことが可能なのかもしれない(単語ごとにスペースが入るため、単語の切り分けの必要がない)のだけれど、こういうファジーな入力を分析する手法は、入力方法にも適用できるかなあと思ったりもする。

増井さんが、以前こんなUIを紹介していた。ソースが見つからなかった為に、記憶で書くけど:

単語と、その単語を入力するのに「どの指を使ったのか」を組にした辞書を作ることにより、キーボードのボタン数を大幅に削減することが出来る。例えば「masui」なら、「r1,l5,l4,r1,r2」となる。

みたいなことを書いていた。今回の研究だとさらに入力情報量が少なくなるが、左右と距離が取れるだけでそれなりの精度で推測出来ることになる。

これで思ったことは、やっぱり増井さんは着想の筋がいいなぁということと、大体の位置だけで入力ができるタッチパネル用のキーボードが出来るかもしれない、ということだ。

まぁ大体、iPhoneのちっこいキーボードで、入力ミス補正が着いていないのはどうなんだ、と思わなくもない。日本語だとなかなか訂正が難しいけれど、英語なら辞書ベースの一致とるの簡単だろうしね。

あと問題は、大まかな入力を許すUIは、修正する際に確実な入力方法が別途必要だということだ。自分は使い勝手のよいツールの条件として、大まかな入力と詳細な入力、両方出来なければならないと思っているんだけれど、今回のアイデアでは辞書ベースの補正が邪魔になって、詳細入力は出来なくなってしまう。

それでもまあストレス改善に役立つ場合もあるだろうから、Appleは入力方法を編集出来るAPIを出してくれないかなあ。

プロダクト志向を自覚する

Steve Yegge の Google とプラットフォームに関するぶっちゃけ話を訳したを読んだ。

自分は「こういう方向性のサービスなんだ」と思うより、「こうあって欲しい」という気持ちが強すぎて、相手方のこだわっている部分とぶつかってしまいそうになる。決裁者でもない人間がそんなこと考えたらあかんな、と思うけど、考えてしまう。

原文にあるとおり、誰しもを満足させられるプロダクトを作ることは出来ない。運営には運営なりのリアリティがあるのであって、僕の考えは、別のプロダクトで表現するほかない。既にあるプラットフォームのデザイン(=DB構造かな?)を変えるということは相当に難しいことだし、変えられた所で、それ程の成果も期待出来ない。

だいたい僕はプロダクトの作者にはなれるだろうけど、プラットフォームをデザイン出来るほどの細やかな神経は持っていない。細部まで詰めるということが相当に苦手だからだ。小さいアプリケーションのログユーティリティの設計ごときでずっと悩んだりする。

自分自身がかなりプロダクト志向だというのは自覚しておいた方がいいのかもしれない。

同期問題の解決には至らず

iCloudだけれど、アプリケーション&OS側の対応が必要なようだ。dropboxのようなファイルベースの同期ではなく、APIを使った同期なのかな?

OfficeがiCloudに対応することはなさそうなのと、GoogleDocsのようなサービスも同様に疎だということと、macのiWorkとも別段接続がいいわけでもないようだ。てっきりiWork.comとの統合が入るのかと思っていたが…

iPadでの編集作業は、色々な意味で無理(編集弱い・周囲から見られる)なので、せめてmac版iWorkとの統合は早めに済ませて欲しい。

タブと縦スクロールのなかにいる

iPhoneがUIを変えた!って意見はあるけど、それはやっぱりiPhoneの中の話で、UI特許が絡んできそうでどれも安心して使えないのであった。それとは別に、どんなプラットフォームでも勝利したUIがある。ブラウザだ。

ブラウザは「タブと縦スクロール」によって成り立っている。これだけなんだが、結構縛りは強いように思う。Eclipseにしろ秀丸にしろ、何かを読む必要のあるソフトウェアは、ブラウザに似たUIを備えている。秀丸もブラウザ互換のショートカットを入れていたりする(Ctrl+ホイールとか。もっともこれは発祥がブラウザじゃないかもしれないが)。

二つの他に、ツリーペインも入るかも知れない。見た目はフラットになったものの、ブラウザのお気に入りはツリー様のシステムだ。

「タブと縦スクロール」、これにツリーペインと、状況に応じて増減するアイコン(もしくはコンテキストメニュー)、これらを備えたソフトウェアが、「まあまあみんな慣れているUI」になっていくんだろうなと思っている。

ブラウザによって敗北したUIは、メニューバーとツールバー、あとMDIだ。これらのWin32的なUIは、設定や共有といった一部のアイコンを除いて、実装されることが減っていくかもしれない。ツールバーやメニューバーは全機能が俯瞰できるから、割と好きだったのだけれど、さすがにタッチ操作を前提とした時代には見合わない。

Win32アプリが絶滅した後、僕らは機能の俯瞰を何で行えばいいんだろうか?何かもう一つUIが必要な気がしてくるんだが。